〜第一志望じゃなかったけれど、それでも確かに前へ〜
子どもが医学生になって、気づけばもう3年目。
大学生活も折り返しに入り、慌ただしい実習やレポート、テストに追われながらも、本人なりに前に進んでいるようです。
このくらいの時期になると、ふと「あの受験期、ほんとによく頑張ったなぁ」と思い返すことが増えてきました。でも、ふとした時に、あの“受験の春”を思い出します。
一浪して、それでも第一志望だった国立大学に届かなかった――
あのときの、あの気持ちを。
思い出すだけで胃が痛くなる…受験期のあの日々
医学部を目指すって、口で言うのは簡単だけど、やっぱりその道のりは簡単じゃありませんでした。
現役の時は「来年がある」と言い聞かせて、子どもも親もなんとか前向きでいられました。
でも、浪人生活は孤独で、プレッシャーがずっとつきまといます。
予備校に通い、朝から晩まで勉強して、それでも結果が出る保証はない。
そして迎えた一浪目の春。
第一志望だった国立医学部の合格発表の日――
結果は、不合格。
あの瞬間の子どもの顔は、今でも忘れられません。
あれだけ頑張ったのに。
模試の判定も悪くなかったのに。
本人はもちろん、私たち親も、しばらくは受け入れられませんでした。
選んだのは「諦めない」という選択
「国立じゃなきゃだめなの?」
「志望校の名前より、大事なものって何だろう?」
子どもは静かに、でもはっきりと言いました。
「医者になりたい気持ちは変わらない。たとえ国立じゃなくても、この道を進みたい。」
その覚悟に、私たちも気持ちを切り替えました。
選んだのは、私立医学部。
第一志望ではなかったかもしれないけれど、「医師になる」という夢に向かって、確実に進める道。
あのときの決断を、今、誇りに思っています。
親の気持ちと、子どもの本音
正直に言えば、私は「国立に受かってほしい」と思い込んでいました。
学費のこともあるし、「国立に行けたら一番いい」と、当たり前のように願っていた。
でもその願いが、子どもにとってはどれほどのプレッシャーになっていたのか――
今になって、「国立に行けなくてごめんね。なんで生きてるんやろと思った」とぽろっとこぼしたあの一言が、胸に刺さります。
応援していたつもりだったけど、無意識に“期待”がプレッシャーになっていたんだな…と。
あのとき、「頑張らなくていいよ」とか「失敗しても大丈夫」と言ってあげる余裕が、もう少しあったらよかったのかな、と思ったりもします。
でも、だからこそ今がある
今、子どもは私立の医学部で3年生として勉強しています。
第一志望じゃなかったかもしれないけれど、今はこの場所で、自分の力を伸ばし、人としても成長している。
「ここに来てよかった」
そう言えるようになったのは、たぶん本人が一番、乗り越えてきたから。
あの悔し涙も、不合格の苦しさも、すべて背負った上で前を向いてくれたことに、私はただただ感謝しています。
そして、親としては今ようやく、安心して見守れるようになった気がします。
最後に
あの春は、本当につらかった。
何年経っても、あの日の切なさは色あせないと思います。
でも、あのとき夢をあきらめなかったこと。
「別の道からでも、医師になれる」と信じて進んだこと。
その選択が、今の我が子をつくっている。
だから今、同じように悩んでいる方に伝えたいです。
「第一志望じゃなくても、未来はきっと拓けます」
「合格=勝ちじゃない。そこからどう歩むかが大事なんです」
うちの子の医学部生活は、まだまだ続きます。
でも、あの一浪の春を乗り越えたからこそ、きっとこの先も大丈夫。
そう信じて、これからもそっと見守っていきたいと思います。


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